実家の遺品整理、費用は
「作業費 − 買取額」で考える
残すものは、家族で選ぶ。
写真はイメージです。(写真AC)
頼む前に確かめる5つのことと、業者に必要な許可、相続放棄との関係。
公開日:2026年10月20日
実家の片付けを業者に頼もうとして、料金表を見比べた方も多いと思います。「1Kでいくら、3LDKでいくら」。ただ、実際の請求額は、この表とずれることがよくあります。
理由は単純で、費用を決めるのは間取りではなく、物の量と、その中に売れる物があるかだからです。
費用の考え方:作業費 − 買取額
実際に払う額 = 作業費(仕分け・搬出・運搬・処分) − 買取額
- 作業費は、物の量、作業する人数、階段かエレベーターか、トラックが家の前に止められるか、で変わる
- 買取額は、骨董品・着物・切手・古銭・ブランド品・貴金属など、値がつく物があるかで変わる
同じ3LDKでも、物が少なく値のつく物がある家と、物が多く値のつく物がない家では、払う額がまったく違います。料金表の金額だけで業者を比べても、あまり意味がありません。
逆に言えば、作業費を下げるより、値のつく物を先に専門の買取業者に見てもらうほうが、手元の負担が減ることがあります。遺品整理業者の買取は、品目によっては専門業者ほど高くならないことがあるためです(業者によって異なります)。
見積もりの「倍」を払った、という相談もある
国民生活センターには、遺品整理サービスについて毎年100件前後の相談が寄せられてきました。報告されている例はこのようなものです。
- 見積もりのときに契約をせかされた。作業が始まらないので解約したい
- 解約を申し出たら、高額なキャンセル料を請求された
- 作業当日に追加料金を請求され、結局、見積額の2倍を払った
- 残してほしいと頼んだ遺品を、勝手に処分された
出典:国民生活センター 報道発表資料(2018年7月19日公表)。相談件数は2013〜2017年度で年73〜114件。
業者に必要な「許可」を知っておく
家庭から出るごみを、業者がお金をもらって回収・運搬するには、市区町村の「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。また、まだ使える物を買い取る業者には、古物営業法の許可(古物商許可)が必要です。
許可を持たない業者に頼むと、「無料」と言われて積み込んだ後に高額な料金を請求されたり、回収された物が不法投棄されたりするトラブルがあると、自治体も注意を呼びかけています。
遺品整理業者の中には、自社では許可を持たず、許可のある業者と提携して運搬している会社もあります。「ごみの運搬は、どの許可で、誰が行いますか」と聞けば、まともな業者ならすぐに答えられます。
片付けの前に:相続放棄を考えているなら、触らない
親に借金があるかもしれない場合、相続人は「相続放棄」を選ぶことができます。ただし、遺品を処分したり売ったりすると、相続を受け入れた(単純承認した)とみなされ、放棄できなくなることがあります。
相続放棄は、原則として相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。借金の心当たりが少しでもあるなら、片付けを始める前に、司法書士や弁護士などの専門家に相談してください。
頼む前に確かめる5つのこと
- 見積もりは2〜3社から取る。必ず家の中を見てもらったうえでの見積もりにする(電話だけの概算で決めない)
- 見積書に「作業内容」と「追加料金が発生する条件」が書いてあるか
- キャンセル料はいつから、いくらかかるか
- ごみの運搬は、どの許可で、誰が行うか
- 残す物を先に決めて、家族で分けておく。写真・手紙・通帳・権利証・印鑑などは業者が来る前に取り出す
5番は費用ではありませんが、いちばん後悔の大きいところです。一度処分した物は戻りません。
遺品整理・買取の相談先を見る見積もりを取るときに確認することもまとめていますまとめ
- 払う額は作業費 − 買取額。間取りの料金表だけで比べない
- 値のつく物は、先に専門の買取業者に見てもらうと負担が減ることがある
- 家庭ごみの運搬には市区町村の許可が必要。誰が運ぶかを聞く
- 相続放棄を考えているなら、片付ける前に専門家へ
- 見積もりは家を見てもらって2〜3社。残す物は先に分ける
- 独立行政法人国民生活センター 遺品整理サービスに関する報道発表資料(2018年7月19日)
- 千葉市 不用品回収業者に関する案内ページ(一般廃棄物収集運搬業の許可、無許可業者のトラブル例)
- 民法第915条(相続の承認・放棄の期間)、第921条(法定単純承認)
本記事は一般的な情報であり、法律の個別の助言ではありません。許可制度の運用は自治体によって異なります。