墓じまいは結局いくら?
総額の出し方と、見落としやすい3つの費用
守る人がいなくなる前に、行き先を決めておく。
写真はイメージです。Photo: Sen(Unsplash)
墓じまいの費用は「お墓を片付ける費用」と「遺骨の次の行き先の費用」の合計です。総額の差は、ほとんど後者で決まります。
公開日:2026年10月20日
「墓じまい 費用」で調べると、30万円から300万円まで、幅のある数字が出てきます。どれも間違いではありません。ただ、この幅のままでは、自分の家がいくらになるのかは分かりません。
この記事では、相場を並べる代わりに、自分の家の総額を出すための計算の型を書きます。最後に、仮の数字を入れた計算例も載せます。
墓じまいをする人は、10年で倍になった
お墓から遺骨を取り出して別の場所へ移すことを「改葬」と言います。墓じまいをするときは、この改葬の許可が必要です。
改葬の件数は、2014年度の約8万4千件から、2024年度には約17万6千件と、10年でほぼ倍になりました。理由として多いのは「お墓が遠い」(52.0%)と「継ぐ人がいない」(44.1%)です。
珍しいことではありません。ただ、一生に一度あるかないかの手続きなので、何にいくらかかるのかを知らないまま進めてしまうのが一番のリスクです。
実際にかかった費用は、70万円以下が約半数
墓じまいを検討・実施した人への調査(2026年)では、実際にかかった費用はこう分かれています。
| かかった費用 | 割合 |
|---|---|
| 30万円以下 | 16.8% |
| 31万〜70万円 | 31.3% |
| 151万円以上 | 14.0% |
出典:株式会社鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」。71万〜150万円の割合は公表資料から確認できなかったため載せていません。
同じ「墓じまい」でも、6人に1人は30万円以下で済み、7人に1人は150万円を超えています。この差を生むのは、ほとんどが遺骨の次の行き先です。
総額の出し方(計算の型)
墓じまいの総額は、次の2つの合計です。
総額 = ①お墓を片付ける費用 + ②遺骨の次の行き先の費用
- ①お墓を片付ける費用 = 墓石の撤去 + お寺へのお礼 + 役所の手続き
- ②次の行き先の費用 = 新しいお墓・納骨先の費用(遺骨の数で増えることがある)
①お墓を片付ける費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 墓石の撤去・更地に戻す工事 | 1㎡あたり10万円程度とされる |
| 閉眼供養(お墓から魂を抜く法要)のお布施 | 3万〜10万円 |
| 離檀料(お寺の檀家をやめるときのお礼) | 3万〜20万円(寺院による。不要な場合もある) |
| 役所の手続き(改葬許可申請・埋蔵証明書など) | 無料〜数千円 |
出典:鎌倉新書「いいお墓」掲載の目安。調査の平均値ではなく相場の目安です。墓地の立地(重機が入れるか)や墓石の大きさで変わります。
②次の行き先の費用(平均購入価格)
| 行き先 | 平均購入価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 樹木葬 | 67.8万円 | 墓石の代わりに樹木や草花を目印にする。継ぐ人が要らないものが多い |
| 納骨堂 | 79.3万円 | 屋内の棚・ロッカー型など |
| 一般墓(墓石を建てる) | 155.7万円 | 墓石代・土地の使用料などの合計 |
出典:鎌倉新書「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025年)」(2024年に「いいお墓」経由で購入した人が対象)。合祀墓(ほかの方の遺骨と一緒に納める)は調査に平均価格の記載がないため載せていません。
墓じまいをした人の移し先は、永代供養(合祀・合葬墓)が43.2%で最も多く、樹木葬24.1%、一般墓14.3%、納骨堂13.3%と続きます(第4回調査)。約8割が、継ぐ人が要らない形を選んでいます。
仮の例で計算してみる
次の前提を置いて、行き先別に総額を出します。すべて仮の数字です。ご自身の家の数字に置き換えてください。
- お墓の広さ:2㎡(撤去費は1㎡あたり10万円で計算)
- 閉眼供養のお布施:5万円
- 離檀料:10万円(必要な場合の仮置き)
- 役所の手続き:3,000円
- 次の行き先:上の表の平均購入価格(遺骨の数による追加は入れていない)
| 項目 | 樹木葬へ移す | 一般墓を建て直す |
|---|---|---|
| 墓石の撤去(2㎡) | 20.0万円 | 20.0万円 |
| 閉眼供養のお布施 | 5.0万円 | 5.0万円 |
| 離檀料 | 10.0万円 | 10.0万円 |
| 役所の手続き | 0.3万円 | 0.3万円 |
| 次の行き先 | 67.8万円 | 155.7万円 |
| 合計 | 103.1万円 | 191.0万円 |
お墓を片付ける側の費用(35.3万円)は、どちらでも同じです。総額の差の約88万円は、すべて行き先の違いから来ています。
見落としやすい3つの費用
1. 遺骨の数による追加
代々のお墓には、何人分もの遺骨が入っていることがあります。新しい納骨先によっては、遺骨1人分(1柱)ごとに追加料金がかかる契約があります。見積もりの金額が「1人分」なのか「全員分」なのかを、必ず確かめてください。
2. 離檀料
法律で決まった料金ではなく、お寺へのお礼という位置づけです。そのため金額に幅があり、話し合いがこじれることもあります。お寺には、決める前に早めに相談するのが一番の予防です。
なお、お寺が「埋蔵証明書」(遺骨が納められていることの証明)を出してくれない場合について、厚生労働省は2026年1月、代わりの書類で改葬許可を出せる場合の考え方を自治体に示しています。困ったときは、お墓のある市区町村の窓口に相談できます。
3. 合祀は、あとから取り出せない
ほかの方の遺骨と一緒に納める合祀は費用を抑えやすい一方、一度納めると遺骨を取り出せなくなるのが一般的です。親族の中に「手を合わせる場所を残したい」という人がいないか、決める前に確かめておくと安心です。
手続きの流れ
- 親族と話し合い、次の行き先を決める
- 新しい納骨先と契約し、「受入証明書」をもらう
- 今のお墓の管理者(お寺・霊園)から「埋蔵証明書」をもらう
- 今のお墓がある市区町村に「改葬許可申請」をして、許可証を受け取る
- 閉眼供養をして遺骨を取り出し、石材店が墓石を撤去する
- 新しい納骨先に遺骨を納める
書類の名前や必要なものは自治体・墓地によって異なります。必ず、お墓のある市区町村の案内を確認してください。
まとめ
- 総額 = お墓を片付ける費用 + 遺骨の次の行き先の費用
- 総額の差は、ほとんど行き先で決まる
- 見積もりでは「遺骨の数による追加」があるかを確かめる
- お寺には決める前に相談する。合祀はあとから取り出せない
- 撤去費は墓地の条件で変わるので、石材店の見積もりは複数取って比べる
- 総務省 東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」(2026年1月30日)※改葬件数は厚生労働省「衛生行政報告例」
- 株式会社鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」
- 株式会社鎌倉新書「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025年)」
- 鎌倉新書「いいお墓」墓じまいの費用に関する解説記事
本記事は一般的な情報であり、個別の状況に応じた助言ではありません。費用は地域・墓地・事業者により異なります。